地方分権に対する温度差

民主党が新政権を打ち立てて華々しくスタートして3年あまり、スタートに当たって地域主権(地方分権)改革こそが「改革の1丁目1番地」としてなんとなく理解しやすく大きな期待感があふれていた。 これと似たような地方分権が各政党において政策として提言されているが、どうも我々地方におり、多少なりとも政治にかかわっているものからするとどうも微妙な温度差があるように思えてならない。 それはなぜか? その一つにあるのは、「地方」をどのようにとらえているのかが判然としないばかりか、どちらかというと地方団体の意見としてとらえているのが、県単位あるいは県規模の団体をいくつかにまとめて、その固まり、団体、組織を「地方団体」としてとらえているのであるように感じられてならない。その組織に国の行政組織の権限を委譲させるとするものである。 つまり、まず大きな塊の中に現行制度上の市町村をどうするのかは全く見えてこないのはどうしたわけであろうか? とにかく、大きな組織にまとめ上げて、その枠組みの中にある市町村はおのずとその組織に組み込んでいこうとする、まず広域的な自治体、組織、一定規模の自治体ありきで議論されているのではないかと感じられる。 つまり、平成の市町村合併の検証もなされないまま、結論ありきで進行しているのではないだろうか。 こうした議論の背景には、全国知事会や政令市長会、首長連合などが分権を切り口に各政党の政策を相次いで採点し、地方の意見として要望を盛り込ませたことによるのであるのではないかと言われている。 その自治体の多くは、一定規模の人口規模であり、我々小規模自治体の意見としては全く反映されておらないことが、今回も話題として出されてもどうしてもすんなりと入っていけない原因であろうと考えられる。 ただ、これまでがんじがらめであった法令による義務付け・枠づけを大幅に緩和した効果はあったと思われる。しかし、その議論とても地方側が「権限・財源の拡充」路線になると、途端に分権改革の具体性がトーンダウンというか、議論があいまいになって、尻切れトンボみたいになっていく。 更に、ひどいことに、自民党政権当時には三位一体改革のもと、あろうことか地方交付税の大幅削減という仕打ちで圧力をかけ、市町村合併を推進した事実がある。 これはまさしく「だまし討ち」以外の何物でもなかったと思う。 この延長線上にあった、地方分権改革は少しは回復したものの、国の出先機関の地方移管も進んではおらない。 こうした進め方が果たして、民主主義の本筋であろうかはなはだ疑問である。 小さな自治体は「黙って飲み込まれろ」みたいな論理にはどうして承服できないし、地方自治体の運営の本質は「住民が見える行政」が原点であるとする考え方からする相当にかい離しているとしか言わざるを得ない。 政権交代後の現政権がどんな議論を進めるかを注視していかなければならないと思っている。