弘法の枕石を見る
東北ダム事業促進連絡協議会の現地見学会が胆沢ダムで行われた。
この現地見学会は私にとっては、なかなか日程がとることができなく、初めての視察となった。
そばを通ることはあっても、実際の説明をいただいたのは初めてであった。
東北では最大のダムであり、日本でも有数の規模を誇る重力式ダムで、そばに立つとさすがに圧巻であった。
特に関心のあったのが、胆沢ダムの上流に位置し、これまで胆沢平野の灌漑用水と治水、水道用水などを一手に引き受けてきた昭和20年代完成した石淵ダムが湖底に沈むことになり、その撤去作業の真っ最中であったし、さらにはその原石資材となった石の供給地である「猿岩」が今なお厳然として残り、周囲を見回している。
猿岩を通るトンネルもその建設時の岩石運搬として掘られたことも知ったし、それ以前の猿岩周辺はにかっての道路敷がはっきりと見ることができた。
こうした歴史を物語る形状も、今年の11月から湛水が始まる胆沢ダムによって新たな時代にはいることになる。
その一つに、石淵ダムの湖底に沈んでいた「弘法の枕石」が60年ぶりに姿を現し、地元の愛宕域振興会住民の熱意によって国土交通省東北整備局や奥州市の理解によって掘り起こされ、国道397号線と国道342号線(一関に通じる道路)を結ぶ市道・尿前槻木平線沿いの小公園に移転したものでした。
高さ総重量15から18トンと推定される大きなもので、約60年ぶりに地域の方々と再開するところとなった。
弘法の枕石は、今から約1200年前に弘法大師が猿岩の神社を参拝し仙北街道を通って秋田に抜ける際に、このこの岩で一夜を明かしたと言われているそうです。
私たち東成瀬の村民にも少なからず関心のあることである仙北道であり、この道路が完成したら是非見ていただきたいと思う。またこの新たなダムこの名称は「奥州湖」と命名されたようで、これに架かる橋の名称も「奥州湖大橋」となりこのダムでは最大の延長である400mを越えるようですし、さらには猿岩橋もかなりの延長であるが、すぐには通れないようでした。
ところで、肝心のダムですが、現在は取水設備工事が盛んと行われており、最新式の選択取水設備が採られておるとのことで、私たちのところでも課題になっていたこの選択取水設備が現実にかなり改良研究されておることから、水位の取水地点が自由に移動でき、濁りや水温問題などほとんど解決されものと期待された。
12月から湛水が始まり、来年の連休ぐらいにはダム湖が予定通りの水位に達する計画のようであった。
いよいよ次の本格的なダム事業になるよう成瀬ダムも運動を展開していかなければならない、これは成瀬ダムを利用する流域の方々の強い希望であり、長年の整備推進をしてきた運動がいよいよ正念場であるともいえると感じた。
今月末から、来月にかけてもそれぞれの団体や機関が協力して積極的に運動を展開していきたいと思う。
多くの現場での体験ができた視察研修であった。
写真は、弘法の枕石と湖面にかかる最大の橋「奥州湖大橋」を望む、あいにくの雨にかすむ猿岩周辺と間もなく沈みゆく石淵ダムの湖底、選択取水設備工事など。